研究内容

バイタル信号や体組成,運動など人に関する情報を簡易に計測するスマートセンシングや,力触覚(ハプティクス)をはじめ感覚情報を提示するための感覚ディスプレイなど,革新的な生体インタフェースの開発を進めています.また,これらを応用することで,ヘルスケア,発達診断,手術訓練,障碍者支援など医療や福祉への貢献を目指した研究を行っています.特に,電磁トモグラフィ(電気インピーダンストモグラフィ)や電気刺激(神経刺激)など電磁界を利用した基盤技術を培うとともに,人間の複雑で多様な特性を理解・応用することで,効果的な設計論を探求しています.

電磁トモグラフィ

TOMOGRAPHICSENSE ― 電磁トモグラフィ × センサデバイス
電磁場中に存在する物体から取得した電位情報を逆解析することで,物体の物性分布を高精度に予測することができるようになりつつあります.このような技術は電磁トモグラフィと呼ばれ,生体イメージングの分野で着目を集めています. 私たちの研究グループでは,この電磁トモグラフィ技術を様々な材料に適用することで,新たなセンサデバイスの技術,トモグラフィ型センサ (通称 TOMOGRAPHICSENSE)を培っています.
接触抵抗式トモグラフィ型触覚センサ ― 接触抵抗 × トモグラフィ
TOMOGRAPHICSENSEの一つである接触抵抗式トモグラフィ型触覚センサは,二つの導電体間の接触抵抗を接触圧力分布の検出に利用した技術です.電位分布を検出するための導電体には電極が複数取り付けられておりそのうち幾つかの電極が接地されます.もう一方の導電体には電圧が印加されており,導体間の接触状態が変化することで検出層の電位分布が変化します.各電極の電位を用いてニューラルネットワーク等により逆解析することで接触圧力分布を推定します.
トモグラフィ型触覚センサの特徴
  • 任意形状に合わせた検出部の設計が可能です.
  • 表面を変形させたり,センサを曲げた状態で利用することも可能です.
  • 1mm以下の空間分解能,1kHzのサンプリング周波数で検出が可能です.
  • 計測したい範囲に合わせて感度を調整することができます.
  • 1N以下の力を計測することも,100N以上の力を計測することも可能です.
  • 接触抵抗式のためドリフトが発生しません.
  • 構造が単純なため,高い耐荷重性を有しています.
関連する研究成果
  • S . Yoshimoto, K. Sakamoto, R. Takeda, A. Yamamoto, Design of a High Performance Tomographic Tactile Sensor by Manipulating the De tector Conductivity. IEEE Transactions on Industrial Electronics, vol.71, no.12, pp.16783 16791, 2024.
  • R. Asahi, S. Yoshimoto, H. Sato, Development of Pinching Motion Classification Method using EIT based Tactile Sensor. IEEE Acces s, vol.12, pp.62089 62098, 2024.
  • S. Hayashi, S. Yoshimoto, A. Yamamoto, Noncontact 2 D Temperature Imaging of Metallic Foils Using Electromagnetic Tomography. IE EE Sensors Journal, vol.23, no.16, pp.17942 17950, 2023.
  • A. Kojima, S. Yoshimoto, A. Yamamoto, Optimization of Electrode Positions for Equalizing Local Spatial Performance of a Tomog rap hic Tactile Sensor. Frontiers in Robotics and AI, section Smart Sensor Networks and Autonomy, vol.10, no.1157911, pp.1 9, 2023.
  • Z. Li, S. Yoshimoto, A. Yamamoto, Tomographic Proximity Imaging Using Conductive Sheet for Object Tracking. Sensors, vol.21, no. 8, pp.2736:1 16, 2021.
  • H. Mitsubayashi , S. Yoshimoto, A. Yamamoto, Adaptive Potential Scanning for a Tomographic Tactile Sensor with High Spatio Temporal Resolution. In Proc. 2020 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems, pp.9827 9832, 2020 (IEEE RAS JJC Young Award).
  • 吉元俊輔, 導電性材料を用いたソフトな触覚センシング, 日本ロボット学会誌 , Vol.37, No.5, pp.391 394, 2019.
  • S . Yoshimoto, Y. Kuroda, O. Oshiro, Tomographic Approach for Universal Tactile Imaging with Electromechanically Coupled Conduc tor s. IEEE Transactions on Industrial Electronics, vol.67, no.1, pp.627 636, 2020
  • 吉元 俊輔 , 黒田嘉宏 , 大城理 , 触覚センサ , 特願 2018 054266, 特開 2019 168247, 特許第 7081793 号 , 2018/3/22
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神経刺激インタフェース

抹消電気刺激による触覚重畳
神経インタフェースに関する独創的な研究として,コンパクトで非侵襲な装置による末梢の求心性神経の電気刺激(末梢神経刺激)により,健常者を対象に人工的な触覚を提示する手法を開発しています.特に,経皮電気刺激を与えた電極の部位よりも末梢側に感覚が生じる現象を発見し,触覚重畳という全く新しい概念を世界に先駆けて提唱してきました.その技術を利用し,指で触れた物体の粗さ感覚の変調(ツルツルをザラザラに感じさせるなど)や,歯科技工士の歯型彫刻訓練(熟練者の操作を触覚で教示など)に利用できる可能性を示してきました.
関連する研究成果
  • 吉元俊輔,電気触覚重畳による手術手技教示,システム/制御/情報(解説),2022
  • S. Yoshimoto et al., Electrotactile Augmentation for Carving Guidance, IEEE Transactions on Haptics, 9(1): 43-53, 2016.
  • S. Yoshimoto et al., Material Roughness Modulation via Electrotactile Augmentation, IEEE Transactions on Haptics, 8(2): 199-208, 2015.
  • 吉元ら, 組織牽引支援のための歪計測に基づく電気触覚フィードバック, 生体医工学, 50(1): 84-91, 2012.
  • 吉元ら, 空間透明型電気触覚ディスプレイの開発と道具操作支援への応用, 生体医工学, 49(1): 54-61, 2011.
  • 黒田ら, 空間透明型触覚提示装置および道具操作支援システム, 特許5549979号.
  • S. Yoshimoto et al., Development of a Spatially Transparent Electrotactile Display and Its Performance in Grip Force Control, In Proceedings of EMBC 2011.
  • 吉元俊輔, 黒田嘉宏, 井村誠孝, 大城理, 物体表面の自己相似性を伝える電気触覚パルス頻度変調. 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol.16, No.3, pp.307-315, 2011.
  • S. Yoshimoto et al., Tactile Mapping Approach using Electrical Stimulus Pattern, In Proceedings of IEEE RO-MAN 2009.
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